暑い毎日が続いている。

あれほどその当否をめぐって喧々囂々議論があった地球温暖化は、もはやどちらが正しかったか明白になりつつあるのではないか。

とはいえ、みんなが気づいたのはいいが、温暖化のスピードは想定以上に早すぎて、有効な対策が打てない事態が起こりつつある。

これからあと2、3か月この猛暑が続くと、水不足による農業への大打撃・巨大台風の発生による河川氾濫の被害急増・電力不足による広域停電が起きてしまう。これらは生産の停滞、医療現場の混乱を招き、わが国の国力を疲弊させることは想定しておくべきだ。

この結果、円安もあって、生産力低下による工業製品不足、および食料品不作による物価の高騰が起こり、日本は何十年かぶりに悪いインフレ時代に突入する可能性が高い。

私はこの悪いインフレでもいいので、インフレになってもらった方がいいと考えている。

日本はとにかくインフレにならなければ、今の停滞した社会構造を変えることはできないと思っている。

デフレ下では各企業トップの慎重論が幅を利かし、努力しなくてもコストは上がらず、人材は派遣で賄えることから、ヒト・モノに思い切った投資を行わない。会社内ではトップの意向を忖度して、ことさらに慎重論を振りかざす人材が出世してきた。

ところがインフレになるとこうはいかない。
インフレでは先に手を打つ奴が得をする構造に社会が変わるから、そのまま何をしないと円安も加わってコストは上がり、企業は追い込まれていくことになる。

そこでは慎重論は後退し、これまで会社官僚に阻まれ陽の目の見なかった新しいアイデア、事業拡張が脚光を浴び、企業スピリットが蘇るのではないかと期待している。

事実、この調子でデフレ下の30〜40年やってきてインフレの国々に日本は勝てず、成長路線が描けずズルズル後退してきた。これを機に、じり貧だった日本は変わるかもしれない。

しかし日本には新しいことをやろうとしても資金はあるが、人口収縮で肝心な人手が足りないという致命傷がある。

インフレ下では、大手は余裕資金もあり、下請け中小企業にコストを押し付け、人材は高給でかき集めしばらくは好調を維持できるが、その下にいる中小企業は時間を置かず急速にこのインフレ、コスト高、人手不足で追いつめられる可能性がある。

これまでも、中小企業は人手不足に対応すべく、DXや自動化を考えて大手企業に自動化設備投資を提案しても、大手からは、まずは安い派遣を使って対応せよとの反論にあって、DX・自動化推進は断念するという繰り返しであった。

この繰り返しで、日本の中小企業のDX化・自動化は遅々として進まなかった。

追いつめられる前に、この大企業論理に逆らってリスクを取って自動化、技術革新を進める中小企業だけが今後生き残れるのではないか?

この状況では、中小企業にとっても、生き残るには技術革新だけが解だ。